微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

章句解説(その他)

人の過や、各々其の党に於てす(論語、里仁第四⑦)

分かり易く言えば、 悪い友達と付き合うな、 ということだろう。 子曰わく、人の過や、各々其の党に於てす。過を観て斯に仁を知る。(里仁第四・仮名論語40頁) 孔子先生が言われました。 「人の過ちは、その人の仲間内から生じるもの。過ちを観察して、そ…

君子は諸を己に求む(論語、衛霊公第十五)

ノーベル賞を受賞した 山中伸弥教授は、 「悪いことが起こったときは 『身から出たサビ』、 つまり自分のせいと考え、 良いことが起こったときは 『おかげさま』と思う」と月刊到知で語っている。 君子は諸を己に求むも これを参考に解釈したい。 子曰わく、…

適も無く莫も無し(論語、里仁第四⑩)

適の右側は啻の変形。 啻には真っ直ぐという意味がある。 適も無しは、 真っ直ぐを無くすということになる。 無くすべき真っ直ぐは絞直(苦しいほどの真っ直ぐさ)だろう。 適も無しとは 絞直を戒めたものと解釈するべきである。 子曰わく、君子の天下に於け…

父母在せば、遠く遊ばず(論語、里仁第四⑲)

旅に限らず、 親に余計な心配をかけない、と解釈する。 子曰わく、父母在せば、遠く遊ばず。遊ぶこと必ず方あり。(里仁第四・仮名論語44頁) 孔子先生が言われました。 「父母の存命中は、遠くへ旅に出ないことだ。やむを得ず遠くへ旅するときは、父母に…

木鐸はメッセンジャー

木鐸とは木製の舌のある金属製の鈴。 法令などを民に知らせる時に振り鳴らしたという。 分かり易く言えば、メッセンジャーだろうか。 孔子先生はメッセンジャーということになる。 儀の封人、見えんことを請う。曰わく、君子の斯に至るや、吾未だ嘗て見える…

剛毅木訥(論語、子路第十三㉗)

剛毅は、欲が少ないことと解釈する。 木訥は、口数が少ないことと解釈する。 子曰わく、剛毅木訥、仁に近し。(子路第十三・仮名論語198頁) 孔子先生が言われました。 「剛毅木訥(欲が少なく、口数が少ない人物)は、仁に近い」 子曰わく、吾未だ剛なる…

和して同ぜず(論語・子路第十三㉓)

付和雷同を戒めるものとして 解釈するのも良い。 「和して同ぜず」は付和雷同の戒め または、 大学の三綱領「民に親しむ」 に関連づけて、 次のように解釈するのも良いように思う。 子曰わく、君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず。(子路第十三・仮名論…

忠は君子や仁の要素

忠は君子や仁の要素でもある。 樊遅、仁を問う。子曰わく、居る處恭、事を執りて敬、人と與りて忠なるは、夷狄に之くと雖も棄つべからざるなり。(子路第十三・仮名論語193頁) 樊遅が仁について尋ねました。 孔子先生が答えられました。 「立ち居振る舞…

己立たんと欲して人を立て(論語、雍也第六㉚)

孔子先生は 弟子の個性に合わせて教えてくれる。 http://blogs.yahoo.co.jp/rihito141/682328.html 「己立たんと欲して人を立て、 己達せんと欲して人を達す」は 子貢に対する言葉。 そのまま真に受けるのは適当でない。 この言葉がもし 不特定多数に向けて …

論語と酒

論語には 「酒は量無く乱に及ばず」という言葉がある。 「乱れさえしなければ 酒を大量に飲んで良い」 との解釈も可能であるが、 この解釈には賛成しない。 酒は特別な場合に限って飲むもの。 似たような章句で「喪」が同時に使われているからである。 子曰…

下問を恥じず(論語、公冶長第五⑮)

上司が部下にものを尋ねるのに、 恥じる必要は無いと解釈できる。 だが無条件に恥じる必要が無いのではない。 孔文子がこれをできたのは 行動が俊敏で謙虚に学ぶことを好んだからであろう。 行動が俊敏で謙虚に学ぶ人格を 形成していたからこそ、 部下にもの…

天命・使命は君子の道への第一歩

論語全体の最初と最後の章句は 呼応している。 意図されたものと思われる。 合わせて読むと、 君子が天命や使命といったものを 自覚した人物であることが分かる。 天命や使命を自覚することは 君子の道の第一歩ということを 教えてくれているように思える。 …

「徳は孤ならず、必ず隣有り」(論語、里仁第四㉕)

徳は「直き心を行う」と書く。 直き心は本心であり、誠の心。 本心からやりたいと思うことを 誠の心をもって行えば、 必ずいつか理解者は現れるということだと思う。 子曰わく、徳は孤ならず。必ず隣有り。(里仁第四・仮名論語46頁) 孔子先生が言われま…

「言必ず信」は小人だろう(論語、子路第十三⑳)

信は「人が言う」と書く。 言ったことを実行することで信が生まれるのかもしれない。 だが次の章句あるように、 「言必ず信」は小人だろうと孔子先生は言っている。 君子は言ったことが 義にかなっていれば実行する のだと思う[参照「信、義に近ければ」(…

述べて作らず(論語、述而第七①)

「述べて作らず」 孔子先生は 「述べているだけで創作はしてない」と仰った。 子曰わく、述べて作らず、信じて古を好む。(後略)(述而第七・仮名論語80頁) 孔子先生が言われました。 「私は述べているだけで創作はしていない。古聖を信じて好んでいるに…

執鞭の士(論語、述而第七⑦)

孔子が説いたのは仁(人の道)。 言うことを聞かないからといって 人を牛や馬と同じように叩くのは間違っている。 だから執鞭の士は賤しむべき役目なのだろう。 子曰わく、富にして求むべくんば、執鞭の士と雖も、吾亦之を為さん。如し求むべからずんば、吾…

「和して同ぜず」は付和雷同の戒め

自分に一定の意見が無く、 他人の意見にわけも無く賛同する。 これを付和雷同という。 次の章句は 付和雷同を戒めていると 考えられる。 子曰わく、君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず。(子路第十三・仮名論語196頁) 孔子先生が言われました。 「…

水を楽しむ(論語、雍也第六㉓)

「知者は水を楽しむ」とは どういうことだろうか? 水は変化を表す。 世の中には 変化しないものは無い(諸行無常)。 それゆえ人間は、 変化に脅えるのではなく、 変化に適応して進化せねばならない。 知者には 仁(人のあるべき道)を見分ける判断力があっ…

人の生くるや直し

真っ直ぐであるべきだ。 天命に対して 真っ直ぐであるべきだ。 子曰わく、人の生くるや直し。之を罔いて生くるや、幸いにして免るるなり。(雍也第六・仮名論語74頁) 孔子先生が言われました。 「人はもともと真っ直ぐなものだ。それを曲げて生きている人…

なぜ仁者は憂えず、山を楽しむか?

仁に志す者は、 人事を尽くして天命を待つ。 だから仁者には 余計な心配が無く、 どっしりとした山を好む ということではないだろうか? 子曰わく、知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼れず。(子罕第九・仮名論語125頁) 孔子先生が言われました。 「…

朝に道を聞けば

仁とは人の道。 理想的な人間社会の姿でもある。 孔子先生は仁が実現すれば 死んでしまっても 構わないとまで思っていた。 天命とはそれほどまで懸命に 追い求めるものなのだろう。 子曰わく、朝に道を聞けば、夕に死すとも可なり。(里仁第四・仮名論語41…

「新たにする民」は創意工夫をする人々

人間ほど 創意工夫を出来る動物は無い。 その意味で創意工夫は 仁(人の道)と言える。 創意工夫が仁だからこそ、 自ら進んで創意工夫する人は 活き活きと輝いて見えるのだろう。 人類は創意工夫によって 新たな価値を生み出し、 進化を遂げてきた。 人類の…

常若-常に清浄(新鮮)な心を保つ

神道には常若(とこわか) という言葉がある。 常に清浄(新鮮)な心を保つ ことを意味する。 伊勢神宮の式年遷宮も 常若の現れと言える。 次の大学の言葉も 常若の考え方に似せて 解釈すると分かり易いと思う。 湯の盤の銘に曰わく、苟に日に新た日日に新た…

言葉は伝達手段に過ぎないか?

言葉は伝達手段に過ぎない、 と論語にはある。 子曰わく、辞(じ)は達するのみ。(衛霊公第十五、仮名論語244頁) 孔子先生が言われました。 「言葉は伝達手段でしかないのだよ」 だが言葉は、 考える、思う、学ぶための手段でもある。 (なぜ言葉を学ぶ…

見た目もおろそかにしない

見た目だけではいけないが、 http://blogs.yahoo.co.jp/rihito141/11669231.html だからといって見た目を おろそかにしていいということではない。 内面と外面のバランスが 保たれていることが大事なのだと思う。 子曰わく、質、文に勝てば則ち野。文、質に…

「民に親しむ」とは

「民に親しむ」とは、 民と同じ目線に立つこと。 上から目線でエラそうなのは 君子の道ではない。 さらに言えば、 仁は二人の人が相親しむ様子を 漢字にしたものであるから、 「民に親しむ」とは、 仁を意味しているとも言えるのである。 大学の道は、明徳を…

論語一意味不明な章句の活用法

前回見てきたように、 変化に適応できなければ、 生き残ってゆくことはできない。 http://blogs.yahoo.co.jp/rihito141/11393062.html 論語一意味不明 とも言われる次の章句。 環境の変化に適応することの 大切さを説いたものとして 次のように解釈すること…

変化に適応する

世の中に変化しないものは無い (諸行無常)。 http://blogs.yahoo.co.jp/rihito141/11382405.html ダーウィンの進化論には 次の言葉がある。 「生き残る種は、 最も強い種でもなく、 最も賢い種でもない。 環境の変化に最も敏感に 反応する種である」 変化…

変化しないものは無い(諸行無常)

世の中に常なるものは無く 物事は変化し続ける。 仏教ではこれを 諸行無常というようだ。 論語では次の章句の解釈に 反映できるだろうか? 子、川の上(ほとり)に在りて曰わく、逝(ゆ)く者は斯(かく)の如きか。昼夜を舍(お)かず。(子罕第九・仮名論…

君子も遊ぶ

もしも自動車のハンドルに 遊びが無かったら、 ハンドリングが ぎこちないものとなって 安全に運転することが できなくなってしまうだろう。 人間もそれと同じ。 もしも人間に遊びが無かったら、 こちこちの融通のきかない 小人と言われてしまうのだろう。 …