微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

述べて作らず(論語、述而第七①)

「述べて作らず」
 
孔子先生は
「述べているだけで創作はしてない」と仰った。
 
 
子曰わく、述べて作らず、信じて古を好む。(後略)(述而第七・仮名論語80頁)
孔子先生が言われました。
「私は述べているだけで創作はしていない。古聖を信じて好んでいるに過ぎない」
 
 
孔子先生は、
古代の聖天子の堯・舜の道を受け継ぎ、
周王朝を築いた文王・武王の道を
明らかにしたに過ぎない。
 
 
仲尼、堯舜を祖述し、文武を憲章す。(後略)(中庸第三十章・仮名中庸75頁)
仲尼(孔子先生の名)は、古代の聖天子の堯・舜の道を受け継ぎ、周王朝を築いた文王・武王の道を明らかにした。
 
 
孔子先生が説いたのは仁とは、
堯舜文武が実現したものだったのである。
 
  
堯舜天下を師(ひき)いるに仁を以てして、民に従う。桀紂天下を師いるに暴を以てして、民之に従う。(大学・仮名大学20頁)
古代の聖天子・堯や舜は仁をもって人々を導いた。民はこれに従って、天下に仁が広まった。夏王朝の暴君・桀や殷王朝の暴君・紂は暴をもって民を導いた。民はこれに従って、天下に暴力がはびこった。
 
 
詩に云わく、穆穆たる文王、於緝煕にして敬止すと。人君と為りては仁に止まり、人臣と為りては敬に止まり、人子と為りては孝に止まり、人父と為りては慈に止まり、国人と交わりては信に止まる。(大学・仮名大学8頁)
詩経には、「深遠な風格ある文王は、ああ、いつも明るく親しみやすく、それでいて常に心に敬をもっていた」という言葉がある。
文王のように、君主となれば常に心に仁を、臣下となれば常に心に敬を、子となれば常に心に孝を、父となれば常に心に慈を、国人と交わる際には常に心に信をもつのである。