微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

2018-01-01から1年間の記事一覧

儒の原字は濡

霧の中を歩けば 自然に衣が湿るように 本当の教えというものは 気づかないうちに沁み渡るのである。 子、子夏に言いて曰わく、女、君子の儒と為れ、小人の儒と為る無かれ。(雍也第六・仮名論語72頁) 孔子先生が子夏に言われました。 「お前は君子の学者…

君子は諸を己に求む(論語、衛霊公第十五)

ノーベル賞を受賞した 山中伸弥教授は、 「悪いことが起こったときは 『身から出たサビ』、 つまり自分のせいと考え、 良いことが起こったときは 『おかげさま』と思う」と月刊到知で語っている。 君子は諸を己に求むも これを参考に解釈したい。 子曰わく、…

心で見なくちゃ

サン=テグジュペリの 「星の王子さま」の中で 王子は狐に次のように教わった。 「心で見なくちゃ、 物事はよく見えないってことさ。 大切なことは目に見えないんだよ」と。 大学にも 心を正しくすることが物事を本質から判断すること(知)に繋がると説かれ…

一所懸命に行えば天命が分かる

力(つと)め行うは仁に近い、とある。 子曰わく、学を好むは知に近く、力め行うは仁に近く、恥を知るは勇に近し。(中庸第二十章・仮名中庸40頁) 孔子先生は言われました。 「学ぶことを好むのは知に近く、努力して行うことは仁に近く、恥を知ることは勇…

礼の和を用て貴しと為す(論語、学而第一⑫)

礼とは、和を調節するもの。 和とは、家族が和やかに楽しむ様子。 家族が和やかに楽しむ、 これこそが孔子が理想とした社会の姿、 すなわち仁なのではないだろうか? (礼、和と仁) 有子曰わく、礼の和を用て貴しと為すは、先王の道も斯を美と為す。小大之…

忠孝は服従でない

忠孝は決して服従ではない。 このことは、次の章句から明らかである。 曽子曰わく、夫の慈愛恭敬、親を安んじ名を揚ぐるがごときは、則ち命を聞けり。敢て問う、子父の令に従うを、考と言うべきか。子曰わく、是何の言ぞや、。是何の言ぞや。昔者、天子に争…

なぜ言葉を学ぶか?

言葉を学ぶのは 相手のことをもっと理解するため、 すなわち仁のためなのである。 孔子曰わく、命を知らざれば、以て君子たること無きなり。礼を知らざれば、以て立つこと無きなり。言を知らざれば、以て人を知ること無きなり。(堯曰第二十・仮名論語313…

徳は純粋にしてゆくもの

文王の徳は純粋であったという。 徳とは純粋にしてゆくものなのだろう。 詩に云わく、維れ天の命、於穆として已まずと。蓋し天の天たる所以を曰うなり。於乎顕ならざらんや、文王の徳の純なると。蓋し文王の文たる所以を曰うなり。純も亦已まざるなり。 詩経…

忠信は誠と解釈する(論語、学而第一⑧)

忠信は真心から人が言うと書く。 誠は言葉が成ると書く。 忠信=誠と解釈しても良いのではないか? すると、この章句は、 次の中庸の章句と合わせて読むべきものとなる。 子曰わく、君子、重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に…

適も無く莫も無し(論語、里仁第四⑩)

適の右側は啻の変形。 啻には真っ直ぐという意味がある。 適も無しは、 真っ直ぐを無くすということになる。 無くすべき真っ直ぐは絞直(苦しいほどの真っ直ぐさ)だろう。 適も無しとは 絞直を戒めたものと解釈するべきである。 子曰わく、君子の天下に於け…

できるかできないかは生涯かけてみないと分からない

できるかできないかは生涯かけてみないと分からない。 冉求曰わく、子の道を説ばざるに非ず、力足らざればなり。子曰わく、力足らざる者は中道にして廃す。今女(なんじ)は画れり。(雍也第六・仮名論語71頁) 冉求(冉有)が言いました。 「先生の教えが…

孔子も知識偏重を戒めた

孔子も知識偏重を戒めた。 子曰わく、知は之に及べども仁之を守ること能わざれば、之を得ると雖も必ず之を失う。知は之に及び仁能く之を守れども、荘以て之に臨まざれば、則ち民敬せず。知は之に及び仁能く之を守り、荘以て之に臨めども、之を動かすに礼を以…

他人の評価は気にしない

他人の評価は気にしない。 子曰わく、人の己を知らざるを患えず、人を知らざるを患うるなり。(学而第一・仮名論語10頁) 孔子先生は言われました。 「人に認められないことを心配するのではない。自分が人を認めていないのではないか?と心配するのだ」 …

洒掃、応対、進退(論語、子張第十九③)

洒掃は清掃、整理整頓。 応対は挨拶、世辞。 進退は立ち居振る舞い。 子游曰わく、子夏の門人小子、洒掃応対進退に当たりては則ち可なり。抑末なり。之に本づくれば則ち無し。之を如何。子夏之を聞きて曰わく、噫、言游過てり。君子の道は孰れをか先に伝え、…

父母在せば、遠く遊ばず(論語、里仁第四⑲)

旅に限らず、 親に余計な心配をかけない、と解釈する。 子曰わく、父母在せば、遠く遊ばず。遊ぶこと必ず方あり。(里仁第四・仮名論語44頁) 孔子先生が言われました。 「父母の存命中は、遠くへ旅に出ないことだ。やむを得ず遠くへ旅するときは、父母に…

今年は戌年

犬は文飾と実質とバランスを説いた章句に登場する。 文飾と実質のバランスは文質彬彬。 戌年である今年は、文質彬彬を心掛けたい。 棘子成曰わく、君子は質のみ。何ぞ文を以て為さん。子貢曰わく、惜しいかな、夫子の君子を説くや。駟も舌に及ばず。文は猶質…