微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

ひとりごと

友とお互い高めあう

舗仁。 仁の磨き合いをするのが本当の友達である。 曽子曰わく、君子は文を以て友を会し、友を以て仁を輔く。(顔淵第十二・仮名論語179頁) 曽先生が言いました。「君子は、文をもって友と会し、友をもって仁を磨く助けとする」 子貢曰わく、貧しくして諂…

徳は純粋にしてゆくもの

文王の徳は純粋であったという。 徳とは純粋にしてゆくものなのだろう。 詩に云わく、維れ天の命、於穆として已まずと。蓋し天の天たる所以を曰うなり。於乎顕ならざらんや、文王の徳の純なると。蓋し文王の文たる所以を曰うなり。純も亦已まざるなり。 詩経…

AIは徳を積まない

人間には人間の道がある。 たとえAIが人間の知能を上回ろうとも、 AIが徳を積むことは無い。 大事なのは、AIを使う側の人間が徳を積むことだろう。 (前略)夫子憮然として曰わく、鳥獣は与に群を同じくすべからず。吾斯の人の徒と与に非ずして誰と与にかせ…

あらゆる組織はそこにいる人によって決まる

大は国家から小は家庭まで、 あらゆる組織は、 そこにいる人によって決まる。 子曰わく、人能く道を弘む。道人を弘むるに非ず。(衛霊公第十五・仮名論語239頁) 孔子先生が言われました。 「道を広めることができるのは人であって、道が勝手に広まってゆ…

人の振り見て我が振り直す

人の振り見て我が振り直す。 子曰わく、賢を見ては斉しからんことを思い、不賢を見ては内に自ら省みるなり。(里仁第四・仮名論語44頁) 孔子先生が言われました。 「賢い人を見れば自分もそうなりたいと思い、賢くない人を見れば自分はどうか反省する」 …

言葉じゃなくて行動で示す

言葉じゃなくて行動で示す。 子曰わく、君子は言に訥にして、行に敏ならんと欲す。(里仁第四・仮名論語46頁) 孔子先生が言われました。 「君子は、口数を少なく、行動を機敏にしようと思うものだ」 子曰わく、剛毅木訥、仁に近し。(子路第十三・仮名論…

どんなに長い夜も必ず明ける

シェイクスピアの「マクベス」には 「どんなに長い夜も必ず明ける」という台詞がある。 子曰わく、歳寒くして、然る後に松柏の彫むに後るるを知るなり。(子罕第九・仮名論語124頁) 孔子先生が言われました。 「寒さが厳しくなって初めて、松や柏が他の…

権利意識の強い人ほど

権利意識の強い人ほど、 自分の義務を棚上げしていうように感じる。 子曰わく、利に放りて行えば、怨多し。(里仁第四・仮名論語42頁) 孔子先生が言われました。 「利を中心に考えて行動すれば、人に怨まれることが多い」 子曰わく、君子は義に喩り、小人…

徳を知る者は少ない

天は必ず各人に徳を与えている。 だが、自分に与えられた徳を知る者は少ない。 子曰わく、由、徳を知る者は鮮なし。(衛霊公第十五・仮名論語229頁) 孔子先生が言われました。 「由(子路)、徳を知る者は少ないのだよ」 天の命ずる之を性と言い、性に率…

結婚前は両目で見て、結婚後は

「結婚前は両目で見て、結婚後は片目をつぶれ」 子曰わく、其の以す所を視、其の由る所を観、其の安んずる所を察れば、人焉んぞ廋(かく)さんや。人焉んぞ廋さんや。(為政第二・仮名論語16頁) 孔子先生が言われました。 「その人の行いをみる。その行い…

モラルハラスメントについて一言

モラルを人に求める時点でその人にモラルは無い。 上位に在りて下を陵がず、下位に在りて上を援かず、己を正しくして人に求めざれば則ち怨み無し。上天を怨みず、下人を尤めず。故に易きに居りて以て命を俟ち、小人は険を行いて以て幸を徼む。(中庸第十四章…

悪いことをしてまで有名になりたいとは思わない

人様・世間様に 多大な迷惑をかけてまで 有名になりたいとは思わない。 子曰わく、富と貴とは、是れ人の欲する所なり。其の道を以て之を得ざれば、処らざるなり。貧と賤とは、是れ人の悪む所なり。其の道を以て之を得ざれば、去らざるなり。君子は仁を去りて…

大きな羊は美しい

羊の毛、肉や乳は、 人を寒さや飢えから救い、 人の生存を保証する。 それだけに、 大きくて形の良い羊は 神事に用いられるほど神聖視された。 この故に、 大きな羊と書いて美になったのだろう。 子貢、告朔の餼羊を去らんと欲す。子曰わく、賜や、女(なん…

正しい解釈を押しつけない

論語の正しい解釈はこれだ と決めつけて それを他人に押しつける。 果たして孔子は そんなつまらないことを 求めるだろうか? 論語の解釈や読み方は 時代に応じて あるいは読み手一人一人の 経験に応じて 百人百様あってよいのでは ないだろうか? 仁に反し…

デキるというだけで人を引き立てていないか?

仕事がデキる。 だからといってそれだけで、 人の上に立たせてはならない。 どんなに仕事がデキても 人の上に立たせては いけない人物はいる。 パワハラとか社内イジメが 問題になるのは 能力主義の下、 デキるか否かだけで 人を引き立てているから なのでは…

ブランドものの魅力から自由になる

ブランドものは確かに魅力的だが 果たして自分が ブランドもののような一流品を 身につけるに相応しい人間なのか を考えると、 ブランドものを欲しがる気持ちは 自然と減退した。 子曰わく、人の己を知らざるを患(うれ)えず、其の不能を患うるなり。(憲問…

分からないものには手を出さない

わからないもの、 複雑で理解できないものには、 手を出さない、深入りしない。 子路、聞くこと有りて、未だ之を行うこと能わざれば、唯聞くこと有らんことを恐る。(公冶長第五・仮名論語56頁) 子路は学んだことをまだ実践することができなければ、さらに…

暴力の連鎖を断ち切る

暴力は連鎖しやすい。 家庭内暴力の中で育った人は、 自分のパートナーや子どもにも 暴力を振るう傾向にあるという。 たとえ暴力を受けても 決して他の人に暴力を振るわない。 暴力の連鎖を断ち切る者は 間違いなく君子であろう。 子貢問うて曰わく、一言(…

違う意見も謙虚に聞く

違う意見にも耳を傾ける。 そういう謙虚な心を養いたいのである。 子曰わく、後生畏る可し。焉んぞ来者の今に如かざるを知らんや。四十五十にして聞くこと無くんば、斯れ亦畏るるに足らざるのみ。(子罕第九・仮名論語121頁) 孔子先生が言われました。 …

人生は出世競争なのだろうか?

人生は出世競争なのだろうか? 君子は天命を自覚し、その実現を追求する。 人との競争など低レベルの次元なのだろう。 子貢人を方(たくら)ぶ。子曰わく、賜(し)や賢(けん)なるかな。夫(そ)れ我は則(すなわ)ち暇(いとま)あらず。(憲問第十四・仮…

スマホを人間に例えれば

どんなに優れたアプリでも それを動かすOSが脆弱では 使い物にならない。 どんなに出来る人間でも 心が邪悪では何をしでかすか分からない。 天子より以て庶人に至るまで、壹に是皆身を修むるを以て本と為す。 其の本乱れて末治まる者は否ず。 其の厚くする…

言うのはタダか?

「言うのはタダだから」と いろいろズケズケと言ってくる人がいる。 しかし本当にタダなのだろうか? 信は「人が言う」と書く。 誠は「言葉が成る」と書く。 タダだからといってズケズケと物を言うのは、 信用や人間性に大きな損失をもたらしてしまうと思う…

友だちのつくり方?

前回見てきたように 良き友を持つことは 論語三大テーマの一つ。 論語には 友だちのつくり方も書いてあるように思う。 曽子曰わく、君子は文を以(もっ)て友を会し、友を以て仁を輔(たす)く。(顔淵第十二・仮名論語179頁) 曽先生が言いました。 「君…

「誇り」はペラペラしゃべるものではない

1991年10月31日、湾岸戦争後の呉港でのこと。イラクがペルシャ湾に敷設した機雷の掃海作戦を無事完了し、帰国した海上自衛隊員を前に、落合畯群司令は最後の訓示を行った。以下、一部を紹介する。 「隊員諸君は、この半年間、ペルシャ湾において、劣悪な環境…

出る杭は伸ばす

出る杭を打つ。 こんなことをするような者は小人。 君子は必ず出る杭を伸ばそうと 手助けする者である。 子曰わく、君子は人の美を成し、人の悪を成さず。小人は是(これ)に反す。(顔淵第十二・仮名論語172頁) 孔子先生が言われました。 「君子は、人…

教育勅語は創られた道徳なのか?

日本経済新聞の井上亮編集委員が また明治時代について的外れなことを書いている (過去の記事:皇位継承問題、日経へ反論)。 今回の記事を一部抜粋・要約すると次のようになる。 (10月20日日本経済新聞朝刊より) 『誕生して間もない明治国家は、西洋から…

頭の良いだけの奴が上に多すぎる

頭の回転が速く口先の機転が利く。 それだけ。 こういう人が評価されて上に行く。 本当に困る。 或(ある)ひと曰わく、雍や、仁にして佞(ねい)ならず。子曰わく、焉(いずく)んぞ佞を用いん。人に禦(あた)るに口給(こうきゅう)を以(もっ)てすれば…

「ならぬものはならぬ」が悲劇を生んだのでは?

会津藩の6~9歳の男児は 10人前後の「什」という組織で育てられていた。 什には掟があり(什の掟)、 「嘘をつかない」 「卑怯な振る舞いをしない」などが挙げられ、 最後には「ならぬものはならぬものです」と 締め括られている。 愚考するに、 「なら…

検証不能な情報は信じない

出所不明な情報や検証不能な情報を信じてはならないと思う。 子曰わく、衆(しゅう)之(これ)を悪(にく)むも必ず察し、衆之を好むも必ず察す。(衛霊公第十五・仮名論語239頁) 孔子先生は言われました。 「多くの人が嫌っていても、必ず自分で観察し…

受験勉強は学問か?

合格と不合格は、 たった1点の差でも決まってしまう。 受験勉強は 合格するための勉強であり、 合格するための勉強は、 人に認めてもらうための勉強にすぎない。 人に認めてもらうための勉強は、 学問とは言えない。 子曰わく、古の学者は己の為にし、今の…