微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

暴力の連鎖を断ち切る

暴力は連鎖しやすい。
 
家庭内暴力の中で育った人は、
自分のパートナーや子どもにも
暴力を振るう傾向にあるという。
 
たとえ暴力を受けても
決して他の人に暴力を振るわない。
 
暴力の連鎖を断ち切る者は
間違いなく君子であろう。
 
 
子貢問うて曰わく、(いちげん)にして以(もっ)て身を終(お)うるまで之(これ)を行うべき者有りや。子曰わく、其(そ)れ恕(じょ)か。己(おのれ)の欲せざる所、人に施(ほどこ)すこと勿(なか)れ。(衛霊公第十五・仮名論語237頁)
弟子の子貢が尋ねました。
「生涯行っていくべき大切なことを、たった一言で表すとすれば、何でしょうか?」
孔子先生が答えられました。
「それは恕であろうか。自分にされたくないことは、他の人にもしないことだよ」
 
 
曽子曰わく、能(のう)を以(もっ)不能に問い、多(おおき)を以て寡(すくなき)に問い、有れども無きが若(ごと)く、実(み)つれども虚(むな)しきが若く、犯されて校(むく)いず。昔者(むかし)、吾(わ)が友(とも)(かつ)て斯(ここ)に従事(じゅうじ)せり。(泰伯第八・仮名論語101頁)
曽先生が言いました。
「才能があるのに才能の乏しい人にも問いかけ、知識が多いのに知識の少ない人にも問いかけ、徳があるのに徳がないかのように振る舞い、虐げられてもあえて仕返ししない。昔、尊敬する私の友だちは生涯これを実践したのだが…」