微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

#倫理学

友とお互い高めあう

舗仁。 仁の磨き合いをするのが本当の友達である。 曽子曰わく、君子は文を以て友を会し、友を以て仁を輔く。(顔淵第十二・仮名論語179頁) 曽先生が言いました。「君子は、文をもって友と会し、友をもって仁を磨く助けとする」 子貢曰わく、貧しくして諂…

温故知新の意味

温故知新、 特に知新を「新たな知見を得る」と解釈するのには賛成しない。 現代でも通用する真理を知ると解釈するべきと思う。 真理とは新理であって、 いつの時代でも古びることなく真新しい。 リーダーとなるに相応しいのは、 その真理(新理)を知る人物…

人の過や、各々其の党に於てす(論語、里仁第四⑦)

分かり易く言えば、 悪い友達と付き合うな、 ということだろう。 子曰わく、人の過や、各々其の党に於てす。過を観て斯に仁を知る。(里仁第四・仮名論語40頁) 孔子先生が言われました。 「人の過ちは、その人の仲間内から生じるもの。過ちを観察して、そ…

一所懸命に行えば天命が分かる

力(つと)め行うは仁に近い、とある。 子曰わく、学を好むは知に近く、力め行うは仁に近く、恥を知るは勇に近し。(中庸第二十章・仮名中庸40頁) 孔子先生は言われました。 「学ぶことを好むのは知に近く、努力して行うことは仁に近く、恥を知ることは勇…

徳は純粋にしてゆくもの

文王の徳は純粋であったという。 徳とは純粋にしてゆくものなのだろう。 詩に云わく、維れ天の命、於穆として已まずと。蓋し天の天たる所以を曰うなり。於乎顕ならざらんや、文王の徳の純なると。蓋し文王の文たる所以を曰うなり。純も亦已まざるなり。 詩経…

孔子も知識偏重を戒めた

孔子も知識偏重を戒めた。 子曰わく、知は之に及べども仁之を守ること能わざれば、之を得ると雖も必ず之を失う。知は之に及び仁能く之を守れども、荘以て之に臨まざれば、則ち民敬せず。知は之に及び仁能く之を守り、荘以て之に臨めども、之を動かすに礼を以…

礼、和と仁

礼とは和を調節するもの。 その和とは、家族が和やかに楽しむ様子。 各家族が和やかに楽しむ、 これこそが孔子が理想とした社会の姿、 すなわち仁なのではないだろうか? 有子曰わく、礼の和を用て貴しと為すは、先王の道も斯を美と為す。小大之に由れば、行…

あらゆる組織はそこにいる人によって決まる

大は国家から小は家庭まで、 あらゆる組織は、 そこにいる人によって決まる。 子曰わく、人能く道を弘む。道人を弘むるに非ず。(衛霊公第十五・仮名論語239頁) 孔子先生が言われました。 「道を広めることができるのは人であって、道が勝手に広まってゆ…

人の振り見て我が振り直す

人の振り見て我が振り直す。 子曰わく、賢を見ては斉しからんことを思い、不賢を見ては内に自ら省みるなり。(里仁第四・仮名論語44頁) 孔子先生が言われました。 「賢い人を見れば自分もそうなりたいと思い、賢くない人を見れば自分はどうか反省する」 …

少しだけ頑張る

毎日、少しだけ頑張る。 日々進化するために。 湯の盤の銘に曰わく、苟に日に新た日日に新たに、又日に新たならんと。(大学・仮名大学6頁) 殷王朝の初代・湯王が使っていた洗面器には、「本当に毎日、心を新鮮に保って、日々新(進)化することを心がける…

言葉じゃなくて行動で示す

言葉じゃなくて行動で示す。 子曰わく、君子は言に訥にして、行に敏ならんと欲す。(里仁第四・仮名論語46頁) 孔子先生が言われました。 「君子は、口数を少なく、行動を機敏にしようと思うものだ」 子曰わく、剛毅木訥、仁に近し。(子路第十三・仮名論…

学べば則ち固ならず(論語、学而第一⑧)

謙虚に学べば、頑固でなくなる。 たとえ頑固であっても、不遜よりは良い。 子曰わく、君子、重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とする無かれ。過てば則ち改むるに憚ること勿かれ。(学而第一・仮名論語4頁) …

君子には威厳が必要

君子には威厳が必要。 ただし、猛々しいことと勘違いしないよう気をつける。 子曰わく、君子、重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし己に如かざる者を友とする無かれ。過てば則ち改むるに憚ること勿かれ。(学而第一・仮名論語4頁) …

愛の反対は憎しみでなく

愛の反対は憎しみでなく無関心(マザー・テレサの言葉)。 人への無関心すなわち 相手を知らないということは 仁愛に悖る憂うべきことなのである。 子曰わく、人の己を知らざるを患えず、人を知らざるを患うるなり。(学而第一・仮名論語10頁) 孔子先生は…

正しさは人に求めない

君子は自分を正しくするだけで、その正しさを人に求めない。 上位に在りて下を陵がず、下位に在りて上を援かず、己を正しくして人に求めざれば則ち怨み無し。上天を怨みず、下人を尤めず。故に易きに居りて以て命を俟ち、小人は険を行いて以て幸を徼む。(中…

言葉には言霊がある

言葉には言霊がある。 善いことを言えば善いことを招き、 悪いことを言えば悪いことが招く。 故に君子は言葉を選ぶのである。 是の故に言悖りて出ずる者は、亦悖りて入る。貨悖りて入る者は、亦悖りて出ず。(大学・仮名大学28頁) この故に、道理に背いた…

謹みて信(論語、学而第一⑥)

「謹」を「慎」として解釈する。 すると、 大学や中庸にある 「君子は独りを慎む」と 合わせて読むことができる。 子曰わく、弟子、入りては則ち孝、出でては則ち弟、謹みて信、汎く衆を愛して仁に親しみ、行いて余力あれば、則ち以て文を学べ。(学而第一・…

民を使うに(論語、学而第一⑤)

「民を使うに時を以てす」とある。 人を使う場合の心得として解釈する。 人を使うには、「慈」「礼」「義」といったものが必要とされる。 「時を以てす」も「慈」「礼」「義」に基づくものと考えられる。 子曰わく、千乗の国を道くに、事を敬して信、用を節…

知者は愚痴を言わない

痴は知が病むと書く。 愚痴を言うということは、 知が病んでいるということ。 心に仁をおく知者は、 愚痴など言わないのである。 子曰わく、仁に里るを美と為す。択びて仁に処らずんば、焉んぞ知なるを得ん。(里仁第四・仮名論語37頁) 孔子先生が言われ…

剛毅木訥(論語、子路第十三㉗)

剛毅は、欲が少ないことと解釈する。 木訥は、口数が少ないことと解釈する。 子曰わく、剛毅木訥、仁に近し。(子路第十三・仮名論語198頁) 孔子先生が言われました。 「剛毅木訥(欲が少なく、口数が少ない人物)は、仁に近い」 子曰わく、吾未だ剛なる…

巧言令色(論語、学而第一③)

巧言令色が必要なときもある。 巧言令色を全否定する趣旨ではないだろう。 文飾と実質のバランスを保つのが論語のテーマの一つ。 巧言令色は文飾の一例。 巧言令色も 実質とバランスがとれていれば、 許されるのではないだろうか? 子曰わく、巧言令色、鮮な…

知命―五十にして天命を知り(論語、為政第二④)

孔子先生は 「五十にして天命を知り」と言われた。 子曰わく、吾十有五にして学に志し、三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知り、六十にして耳順い、七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず。(為政第二・仮名論語12頁) 孔子先生…

上を犯す(論語、学而第一②)

弟が入っているので、 「上」は目上と解釈するのが通常。 だが、 中庸の最終章と関連付けて、 上天すなわち天と解釈することも可能と思う。 その方が深みが増す。 有子曰わく、其の人と為りや、孝弟にして上を犯すを好む者は鮮なし。上を犯すを好まずして乱…

真珠湾ではなく満州事変から始まった

70年前終わった戦争は、 真珠湾攻撃から 始まったのではなく、 満州事変から始まった。 満州事変以降、 日本軍は 中国義勇兵によるテロと戦っていた。 盧溝橋事件以降は 中国軍と全面衝突(支那事変・日中戦争)するようになった。 やがてアメリカは 日本が…

サイパン陥落して降伏せず、これを過ちという

グアム→パラオ→フィリピン→硫黄島→日本本土への大空襲→沖縄での地上戦→広島・長崎への原爆投下 このように、 70年前の戦争によって 犠牲となった方々の大多数は サイパン陥落後であった。 サイパン陥落は 日本本土がB29による爆撃射程圏に入ることを意味した…

孝(論語、学而第一②)

「教」という漢字には「孝」が入っている。 漢字が作られた大昔、 教えるといえば孝だったからだろう。 孝が人間を動物と分けるものと 考えられていたからかもしれない。 「孝」とは何か? これも何度も繰り返される論語のテーマの一つである。 有子曰わく、…

悪口は言わない

悪口はそれ自体が不善。 悪口は言わないようにしたい。 子曰わく、由の瑟、奚為れぞ丘の門に於いてせん。門人、子路を敬せず。子曰わく、由や堂に升れり。未だ室に入らざるなり。(先進第十一・仮名論語148頁) 孔子先生が言われました。 「由(子路)の…

志は十ある心を一つにする

志は、十ある心を一つにする、と書く。 十ある心を一つにするということは、 天命・使命を考えるということだろう。 天命・使命を考えることは 君子の道の第一歩。 http://blogs.yahoo.co.jp/rihito141/12867749.html 君子は志をもった人物なのである。 子曰…

天命(使命)を知るには

天命を知るには結局、 一つ一つ善を積んでゆく、 ということだろう。 康誥に曰わく、惟れ命常に干(おい)てせずと。善なれば則ち之を得、不善なれば則ち之を失うを道う。(大学・仮名大学29頁) 康誥(書経の一篇)には、「天命はいつでも失われる」とあ…

天命・使命は君子の道への第一歩

論語全体の最初と最後の章句は 呼応している。 意図されたものと思われる。 合わせて読むと、 君子が天命や使命といったものを 自覚した人物であることが分かる。 天命や使命を自覚することは 君子の道の第一歩ということを 教えてくれているように思える。 …