微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

知者は愚痴を言わない

痴は知が病むと書く。

愚痴を言うということは、
知が病んでいるということ。

心に仁をおく知者は、
愚痴など言わないのである。


子曰わく、仁に里るを美と為す。択びて仁に処らずんば、焉んぞ知なるを得ん。(里仁第四・仮名論語37頁)
孔子先生が言われました。
「心に仁をおくことが美しい。心に選んで仁をおかなれば、どうして知者と言えようか?」


子曰わく、其の以す所を視、其の由る所を観、其の安んずる所を察れば、人焉んぞ廋(かく)さんや。人焉んぞ廋さんや。(為政第二・仮名論語16頁)
孔子先生が言われました。
「その人の行いをみる。その行いの由来する所をみる。そして、その行いに安心しているかを観察する。そうすれば、その人の人柄はどうして隠せるだろうか?その人の人柄はどうして隠せるだろうか?」


陳に在して糧を絶つ。従者病みて能く興つこと莫し。子路慍み見えて曰わく、君子も亦窮すること有るか。子曰わく、君子固より窮す。小人窮すれば斯に濫る。(衛霊公第十五・仮名論語227頁)
孔子先生が陳に滞在されておりました時、呉が陳を攻める事件に遭い、食糧がなくなってしまうことがありました。従者たちは飢えて起き上がる気力もなくなってしまっていました。子路は腹を立て、孔子先生に尋ねました。
「君子でも困窮することがあるのですか?」
孔子先生は答えられました。
「もちろん君子も困窮する。小人は困窮すると取り乱してしまう(君子は困窮しても平常心を失わない)」