微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

語句解説

温故知新の意味

温故知新、 特に知新を「新たな知見を得る」と解釈するのには賛成しない。 現代でも通用する真理を知ると解釈するべきと思う。 真理とは新理であって、 いつの時代でも古びることなく真新しい。 リーダーとなるに相応しいのは、 その真理(新理)を知る人物…

忠孝は服従でない

忠孝は決して服従ではない。 このことは、次の章句から明らかである。 曽子曰わく、夫の慈愛恭敬、親を安んじ名を揚ぐるがごときは、則ち命を聞けり。敢て問う、子父の令に従うを、考と言うべきか。子曰わく、是何の言ぞや、。是何の言ぞや。昔者、天子に争…

洒掃、応対、進退(論語、子張第十九③)

洒掃は清掃、整理整頓。 応対は挨拶、世辞。 進退は立ち居振る舞い。 子游曰わく、子夏の門人小子、洒掃応対進退に当たりては則ち可なり。抑末なり。之に本づくれば則ち無し。之を如何。子夏之を聞きて曰わく、噫、言游過てり。君子の道は孰れをか先に伝え、…

魯公

魯公は周公の子。 周公は自らの子を魯公とし、 魯の国を治めさせた。 この魯の国で孔子が生まれた。 孔子の時代の魯公は、哀公・定公であった。 周公、魯公に言いて曰わく、君子は其の親を施てず、大臣をして以いられざるを怨ましめず、故旧、大故無ければ、…

周公

周公は武王の弟。 武王から天子の位を譲り受け、 周の礼を整えた。 周公の子が魯公である。 子曰わく、甚だしきかな、吾が衰えたるや。久しきかな、吾復夢に周公を見ず。(述而第七・仮名論語81頁) 孔子先生が言われました。 「なんと甚だしいことか、私…

文王

文王は武王の父。 文王こそ、孔子が最も模範とする先王である。 子曰わく、憂無き者は唯だ文王か。王季を以て父と為し、武王を以て子と為し、父之を作し、子之を述ぶ。(中庸第十八章・仮名中庸30頁) 孔子先生が言われました。 「心配の無かった者は文王…

武王

武王は老年になって天命を受け、 紂を討伐し、天子となり、周王朝を開いた。 天子の位を弟の周公に譲った。 武王・周公の父が文王である。 子曰わく、(中略)武王は大王・王季・文王の緒を纘ぎ、壹たび戎衣して天下を有ち、身天下の顕名を失わず、尊きこと…

紂は殷王朝最後の天子。 暴君であった。 周の武王によって討伐された。 堯舜天下を師いるに仁を以てして、民之に従う。桀紂天下を師いるに暴を以てして、民之に従う。(大学・仮名大学20頁) 古代の聖天子・堯や舜は仁をもって人々を導いた。民はこれに従…

湯は日新を遺した

湯は夏王朝の天子・桀を討伐し、 自ら天子となり、殷王朝を開いた。 日新という言葉を遺した名君であった。 湯の盤の銘に曰わく、苟に日に新た日日に新たに、又日に新たならんと。(大学・仮名大学6頁) 殷王朝の初代・湯王が使っていた洗面器には、「本当…

桀は夏王朝最後の天子。 暴君であった。 殷の湯王によって討伐された。 堯舜天下を師いるに仁を以てして、民之に従う。桀紂天下を師いるに暴を以てして、民之に従う。(大学・仮名大学20頁) 古代の聖天子・堯や舜は仁をもって人々を導いた。民はこれに従…

禹は吾間然すること無し(論語、泰伯第八㉑)

禹は舜から天子の位を譲り受け、 夏王朝を開いた。 孔子は禹を「間然すること無し」と評している。 「間然」とは、非難を加える間があること。 その間が無いのだから、 非難することができないという意味になる。 舜と同様、孔子が尊ぶ天子である。 子曰わく…

舜は堯から天子の位を譲り受けた。 孔子が最も尊ぶ天子と言える。 禹に天子の位を譲った。 子曰わく、無為にして治むる者は其れ舜なるか。夫れ何をか為すや。己を恭しくして正しく南面するのみ。(衛霊公第十五・仮名論語229頁) 孔子先生が言われました…

最初の天子は堯

最初の天子は堯。 偉大な天の道(誠)に則った偉大な君主。 舜にその位を譲った。 子曰わく、大いなるかな堯の君たるや、巍巍乎として唯天を大いなりと為す。唯堯之に則る。蕩蕩乎として民能く名づくること無し。巍巍乎として其れ成功有り。煥乎として其れ文…

天子、諸侯、大夫、士

天子 ↓ 諸侯 ↓ 大夫(大臣) ↓ 士(陪臣・一般役人) 孔子曰わく、天下道有れば、則ち礼楽征伐、天子より出ず。天下道無ければ、則ち礼楽征伐諸侯より出ず。諸侯より出ずれば、蓋し十世にして失われざること希なり。大夫より出れば、五世にして失われざるこ…

礼、和と仁

礼とは和を調節するもの。 その和とは、家族が和やかに楽しむ様子。 各家族が和やかに楽しむ、 これこそが孔子が理想とした社会の姿、 すなわち仁なのではないだろうか? 有子曰わく、礼の和を用て貴しと為すは、先王の道も斯を美と為す。小大之に由れば、行…

君子には威厳が必要

君子には威厳が必要。 ただし、猛々しいことと勘違いしないよう気をつける。 子曰わく、君子、重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし己に如かざる者を友とする無かれ。過てば則ち改むるに憚ること勿かれ。(学而第一・仮名論語4頁) …

礼の心は「和」と「譲」

礼において大切なのは、 「和」と「譲」の心である。 有子曰わく、礼の和を用て貴しと為すは、先王の道も斯を美と為す。小大之に由れば、行われざる所あり。和を知りて和すれども礼を以て之を節せざれば、亦行うべからざるなり。(学而第一・仮名論語7頁) …

君子は仁者、仁者は知者・勇者

君子の心には、必ず仁がある。 心に仁の有る者は、知者と言える。 仁者には必ず、勇気もある。 子曰わく、富と貴とは、是れ人の欲する所なり。其の道を以て之を得ざれば、処らざるなり。貧と賤とは、是れ人の悪む所なり。其の道を以て之を得ざれば、去らざる…

信(論語、学而第一④)

信はやはり 友との関連で用いられる。 信は為政者に必須なものであり、 仁の要素でもあるが、 それ以前に 人に不可欠なものである。 曽子曰わく、吾日に吾が身を三省す。人の為に謀りて忠ならざるか、朋友と交わりて信ならざるか、習わざるを伝うるか。(学…

忠(論語、学而第一④)

忠は「中+心」。 真ん中の心であり、 真心であり、 嘘・偽り無き誠の心である。 孝や慈と組み合わされる。 決して、服従という意味ではないのである。 曽子曰わく、吾日に吾が身を三省す。人の為に謀りて忠ならざるか、朋友と交わりて信ならざるか、習わざ…

知仁勇の読み方

知仁勇は「ちじんゆう」と読む。 知仁勇の三の者は天下の達徳なり。之を行う所以の者は一なり。(中庸第二十章・仮名中庸38頁) 知・仁・勇の三つは、古今東西いつの時代もどこの場所でも通達(通用)する徳である。この三徳を行う基盤は一(誠)である。 …

孝(論語、学而第一②)

「教」という漢字には「孝」が入っている。 漢字が作られた大昔、 教えるといえば孝だったからだろう。 孝が人間を動物と分けるものと 考えられていたからかもしれない。 「孝」とは何か? これも何度も繰り返される論語のテーマの一つである。 有子曰わく、…

志は十ある心を一つにする

志は、十ある心を一つにする、と書く。 十ある心を一つにするということは、 天命・使命を考えるということだろう。 天命・使命を考えることは 君子の道の第一歩。 http://blogs.yahoo.co.jp/rihito141/12867749.html 君子は志をもった人物なのである。 子曰…

恕は思いやりと解釈されるが、

恕は一般的に 思いやりと解釈される。 だが恕は、 「心の如く」と書く。 したがって、 相手の心の如く、 相手の立場に立って考えること と解釈する方が正解かもしれない。 子曰わく、参や、吾が道は一を以て之を貫く。曽子曰わく、唯。子出ず。門人問うて曰わ…

勇は身の安全を保った上で行う

いくら仁だからとはいえ、 身の危険を顧みず 発揮されるのは 本当の勇ではないように思う。 身の安全はきちんと保った上で 発揮するのが 本当の勇ではないだろうか? (前回勇は仁を行う勇気) 宰我問うて曰わく、仁者は之に告げて、井に仁ありと曰うと雖も…

勇は仁を行う勇気

義は正義の義であり、 正しいことを示す。 人間にとって 何が正しいかと言えば、 それは仁であろう。 勇は仁を行う勇気だと思う。 子曰わく、(中略)義を見て為さざるは勇無きなり。(為政第二・仮名論語22頁) 孔子先生が言われました。 「正しいことだ…

知は仁を見分ける判断力

知とは 物事を本質から判断すること であった。 http://blogs.yahoo.co.jp/rihito141/10366596.html 人間の本質、 つまり人間の人間たる所以を 考えることは、 人間のあるべき道を 考えることであり、 人間のあるべき道は 仁である。 知とは 仁を見分ける判…

誠は感化育成である

仁とは人の道であり、 人の道は誠であり、 誠は感化育成である。 唯天下の至誠のみ、能く其の性を尽くすことを為す。能く其の性を尽くせば則ち能く人の性を尽くす。能く人の性を尽くせば、則ち能く物の性を尽くす。能く物の性を尽くせば、則ち以て天地の化育…

「至善」とはベスト尽くすこと

至善とは最善のこと。 君子の道は、 どんなときも最善(ベスト)を尽くすところにある。 大学の道は、明徳を明らかにするに在り。民に親しむに在り。至善に止まるに在り。(大学・仮名大学1頁) 大学の道(君子となるための学問の道)は、①明徳を明らかにす…

「陰徳を積む」とは「善を積む」こと

陰徳を積むということは、 善を積むということ。 http://blogs.yahoo.co.jp/rihito141/11634429.html 誰も見ていないからといって 不善をするようでは 陰徳を積むことはできない。 小人(しょうじん)間居(かんきょ)して不善を為(な)し、至らざる所無し…