微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

勇は身の安全を保った上で行う

いくら仁だからとはいえ、
身の危険を顧みず
発揮されるのは
本当の勇ではないように思う。
 
身の安全はきちんと保った上で
発揮するのが
本当の勇ではないだろうか?
 
 
宰我問うて曰わく、仁者は之に告げて、井に仁ありと曰うと雖も、其れ之に従わんや。子曰わく、何為れぞ其れ然らん。君子は逝かしむべきも、陥るべからざるなり。欺くべきも、罔うべからざるなり。(雍也第六・仮名論語77頁)
弟子の宰我が尋ねました。
「仁者は『井戸に人が落ちた』と知らされたら、すぐに井戸に入って助けに行くでしょうか?」
孔子先生が言われました。
「どうしてそんなことをするだろうか?君子(仁者)は井戸まで行かせることできても、井戸の中へ落とし入れることはできない。だますことはできても、正しい判断力までくらますことはできないのだよ」
 
 
子曰わく、寧武士、邦に道有るときは則ち知なり。邦に道無きときは則ち愚なり。其の知は及ぶべきなり。その愚は及ぶべからざるなり。(公冶長第五・仮名論語60頁)
孔子先生が言われました。
「寧武士(衛国の大夫)は、国に道が行われているときには、知者としてその力を発揮した。国に道が行われず身に危険が及びそうになると、愚者のように振る舞い、身の安全を保った。その知者ぶりは真似できても、愚者ぶりを真似ることはできない(寧武士をほめている)」