微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

最初の天子は堯

最初の天子は堯。

偉大な天の道(誠)に則った偉大な君主。

にその位を譲った。


子曰わく、大いなるかな堯の君たるや、巍巍乎として唯天を大いなりと為す。唯堯之に則る。蕩蕩乎として民能く名づくること無し。巍巍乎として其れ成功有り。煥乎として其れ文章有り。(泰伯第八・仮名論語107頁)
孔子先生が言われました。
「堯の君主たるや何と偉大なのだろう。堂々として、天のみを偉大なものとした。堯のみがこの偉大な天の道に則っていた。心が広くゆったりとして、その様子を民は何と表現したらよいか分からない。堂々として功績は成り、輝かしき礼楽制度が有った」


堯曰わく、咨、爾舜、天の暦数、爾の躬に在り。允に其の中を執れ。四海困窮せば、天禄永く終えん。舜も亦以て禹に命ず。曰わく、予小子履、敢て玄牡を用いて、敢て昭らかに皇皇たる后帝に告ぐ。罪有らば敢て赦さず。帝臣蔽さず。簡ぶこと帝の心に在り。朕が躬、罪有らば、万邦を以てすること無かれ。万邦罪有らば、罪朕が躬に在らん。周に大いなる賚有り。善人是れ富めり。周親有りと雖も、仁人に如かず。百姓過有らば、予一人に在らん。(堯曰第二十・仮名論語307頁)
堯帝が言われました。
「ああ、汝舜よ。天は天子の位を汝の身に在らしめた。誠に中道をもって行え。天下万民を困窮させるようなことがあれば、天の福禄は永久に終えるだろう」
舜帝もまた同じように禹王(夏王朝の開祖)に命じました。
殷の湯王(殷王朝の開祖)は、天帝に誓って次のように言われました。
「わたくしは履という者でございますが、謹んでここに黒牡牛をお供えして、あえてはっきりと天帝に申し上げます。天帝に対し罪を得た者(夏の桀王)は許しませんでした。天帝の臣下たるわたくしに、隠し事はございません。天子の位に即く者は、天帝のお心が選ぶことにございます。わたくしの身に罪が有れば、万民に罰を与えないで下さい。万民に罪があれば、全ての罪はわたくし一人にございます」
(周の武王も、天帝に誓って次のように言われました。)
「天帝は周に大きな賜物を下さいました。善人が多いことでございます。周りに親しい者がおりましょうとも、仁人が多いことには及びません。このように仁人が多くても、なお民に過ちがありますれば、それはわたくし一人の過ちでございます」