微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

違う意見も謙虚に聞く

違う意見にも耳を傾ける。
そういう謙虚な心を養いたいのである。
 
 
子曰わく、後生る可し。焉んぞ来者の今に如かざるを知らんや。四十五十にして聞くこと無くんば、斯れ亦畏るるに足らざるのみ。(子罕第九・仮名論語121頁)
孔子先生が言われました。
「若者を畏敬すべきだ。将来彼らが今の我々に及ばないと、どうして言えようか?四十や五十にもなって謙虚に聞く耳をもたないようでは、畏敬の対象からは外れるであろう」
 
 
定公問う、一言にして以て邦を興すべきこと諸有りや。孔子えて曰わく、言は以て是くの若くなるべからざるも其れ幾きや。人の言に曰わく、君たること難し、臣たること易からずと。如し君たることの難きを知らば、一言にして邦を興すに幾からずや。曰わく、一言にして邦を喪ぼすべきこと諸有りや。孔子えて曰わく、言は以て是くの若くなるべからざるも其れ幾きや。人の言に曰わく、予君たるを楽しむこと無し。唯其の言うことにして予に違うこと莫きを楽しむなりと。如し其れ善にして之に違うこと莫くんば、亦善からずや。如し不善にして之に違うこと莫くんば、一言にして邦を喪ぼすに幾からずや。(子路第十三・仮名論語189頁)
定公(魯国の君主)が孔子先生に問いました。
「一言で国を興隆させるような言葉はないものか?」
孔子先生が答えられました。
「適当な言葉ではないかもしれませんが、それに近いものがございます。昔の人の言葉に『君主となることは難しく、臣下となることも簡単ではない』というものがございます。もし君主が君主らしくすることの難しさを知るならば、一言で国を興隆させるのに近いのではないでしょうか?」
さらに定公は問いました。
「では一言で国を滅ぼすような言葉はあるか?」
孔子先生が答えられました。
「適当な言葉ではないかもしれませんが、それに近いものがございます。昔の人の言葉に『君主となっても何の楽しみも無い。ただ私が言うことに対して、意見されることなく従ってくれることだけが楽しみだ』というものがございます。もし君主の言葉が正しく、それに意見する者がいなければ、それはそれで結構でございます。しかし、もし君主の言葉が正しくないのに、それに意見する者がいなければ、一言で国を滅ぼすことに近いのではないでしょうか?」