微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

論語と酒

論語には
「酒は量無く乱に及ばず」という言葉がある。

「乱れさえしなければ
酒を大量に飲んで良い」
との解釈も可能であるが、
この解釈には賛成しない。

酒は特別な場合に限って飲むもの。
似たような章句で「喪」が同時に使われているからである。


子曰わく、出でては則ち公卿に事え、入りては則ち父兄に事う。喪の事は敢て勉めずんばあらず。酒の困(みだ)れを為さず、何か我に有らんや。(子罕第九・仮名論語119頁)
孔子先生が言われました。
「家外では上位の者によく仕え、家中では父兄によく仕える。葬儀の事は全力で務める。酒を飲んでも乱れない。その他に私に何が有るだろうか?」


特別な場合に限るから
大量に飲んでも良いのである。

また特別な場合に限るから
乱れてはならないのである。

さらにまた特別な場合に限るから
わざわざ買ってまで飲む必要が無いのである。


唯酒は量無く乱に及ばず。沽(か)う酒と市(か)う脯(ほしにく)は食わず。(郷党第十・仮名論語133頁)
孔子先生の飲酒に定量はありませんでしたが、酒に酔って乱れるようなことはありませんでした。買った酒や干し肉は口にされませんでした。