微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

言葉は伝達手段に過ぎないか?

言葉は伝達手段に過ぎない、
論語にはある。
 
 
子曰わく、辞(じ)は達するのみ。(衛霊公第十五、仮名論語244頁)
孔子先生が言われました。
「言葉は伝達手段でしかないのだよ」
 
 
だが言葉は、
考える、思う、学ぶための手段でもある。
 
 
上の章句は
口先だけの人に向けて
言われたものではないかと思う。
 
 
(ある)ひと曰わく、雍(よう)や、仁にして佞(ねい)ならず。子曰わく、焉(いずく)んぞ佞を用いん。人に禦(あた)るに口給(こうきゅう)を以(もっ)てすれば、屡々(しばしば)人に憎(にく)まる。其(そ)の仁を知らず、焉んぞ佞を用(もち)いん。(公冶長第五・仮名論語49頁)
ある人が言いました。
「雍(孔子先生の弟子)は、仁者ですが弁が立ちませんね」
これを聞いて孔子先生が言われました。
「どうして弁が立つ必要があろうか?弁が立つ者は口を頼りに人を屈服させ、かえって人から憎まれてしまうことが多い。雍が仁者であるかは知らないが、弁が立つ必要など無い」