人類は
文字を発明する遙か前から
詩を作り伝承していた。
詩は言葉や文章を
一定のリズムや韻律で並べ、
人々に感動を与える。
感動は人々の心を洗い清める。
心が洗い清められると
悪いことをしたいと思わなくなる。
だから孔子先生は詩を学ぶことを
推奨していたのだろう。
陳亢、伯魚に問うて曰わく、子も亦異聞有りや。対えて曰わく、未だし。嘗て独り立てり。鯉走りて庭を過ぐ。曰わく、詩を学びたりや。対えて曰わく、未だし。詩を学ばずんば、以て言うこと無し。鯉退きて詩を学べり。他日又独り立てり。鯉走りて庭を過ぐ。曰わく、礼を学びたりや。対えて曰わく、未だし。礼を学ばずんば、以て立つこと無し。鯉退きて礼を学べり。斯の二者を聞けり。陳亢退きて喜びて曰わく、一を問いて三を得たり。詩を聞き、礼を聞き、又君子の其の子を遠ざくるを聞くなり。(季氏第十六・仮名論語257頁)
陳亢(弟子)が伯魚(孔子の長男で名は鯉)に尋ねました。
「あなたもまた私たちとは別に、何か違ったことを教えられたのではありませんか?」
伯魚が答えました。
「まだそのようなことはありません。ただ、かつて父が庭に一人立っておりました。私が小走りで通り過ぎようとすると、父が私を呼び止めて『詩を学んだかね?』と尋ねてきました。私が『まだです』と答えましたところ、父は『詩を学ばなければ、立派な人と話ができないよ』と申しました。そこで私は早速他の先生の下で詩を学びました。
陳亢(弟子)が伯魚(孔子の長男で名は鯉)に尋ねました。
「あなたもまた私たちとは別に、何か違ったことを教えられたのではありませんか?」
伯魚が答えました。
「まだそのようなことはありません。ただ、かつて父が庭に一人立っておりました。私が小走りで通り過ぎようとすると、父が私を呼び止めて『詩を学んだかね?』と尋ねてきました。私が『まだです』と答えましたところ、父は『詩を学ばなければ、立派な人と話ができないよ』と申しました。そこで私は早速他の先生の下で詩を学びました。
またある日、父が一人庭に立っておりました。私が小走りで庭を通り過ぎようとすると、父が私を呼び止めて、『礼を学んだかね?』と尋ねてきました。私は『まだです』と答えました。父は、『礼を学ばなければ世に立っていけないよ』と申しました。そこで私は早速他の先生の下で礼を学びました。
この二つのことを教えてもらったぐらいでしょうか」
陳亢は、退出してから、他の人に喜んで言いました。
「今日は一つのことを尋ねて、三つのことを知ることができた。詩を学ぶことの大切さ、礼を学ぶことの大切さと、君子は自分の子を特別扱いをしないということを学ぶことができた」
陳亢は、退出してから、他の人に喜んで言いました。
「今日は一つのことを尋ねて、三つのことを知ることができた。詩を学ぶことの大切さ、礼を学ぶことの大切さと、君子は自分の子を特別扱いをしないということを学ぶことができた」