微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

孔子も衣食住の充実を考えていた

衣食住が充実して始めて
道徳などを考えることができる。

このことを表したことわざに
「衣食足りて礼節を知る」というものがある。

おそらく孔子先生も
そのように考えていたのではないだろうか?
 
 
子曰わく、貧しくして怨(うら)む無きは難(かた)く、富みて驕(おご)る無きは易(やす)し。(憲問第十四・仮名論語205頁)
孔子先生が言われました。
「貧乏でも怨みがましくならないのは難しい。それに比べれば、お金持ちなのに傲り高ぶらないことなど、容易なことだ」
 
 
子、衛に適(ゆ)く、冉有(ぜんゆう)(ぼく)たり。子曰わく、庶(おお)きかな。冉有曰わく、既に庶し。又何をか加えん。曰(のたま)わく、(これ)を富まさん。曰(い)わく、既に富めり。又何をか加えん。曰(のたま)わく、之を教えん。(子路第十三・仮名論語186頁)
孔子先生が衛の国へ行かれたとき、弟子の冉有が、お供をしていました。
先生が言われました。
「人が多いね」
冉有がこれを聞いて尋ねました。
「おっしゃるように人が多いです。もし先生がこの国で政治をなさるなら、何をなさいますか?」
先生が答えられました。
民を豊かにしてやりたいよ
冉有は更に尋ねました。
「豊かになった後は、何をなさいますか?」
先生が答えられました。
「人としての道(道徳)を教えようと思う」
 
 
哀公、有若に問うて曰わく、年(とし)(う)えて用(よう)足らず、之(これ)を如何(いか)にせん。有若対えて曰わく、盍(なん)ぞ徹(てっ)せざるや。曰わく、二すら吾(われ)(なお)足らず、之を如何ぞ其(そ)れ徹せんや。対(こた)えて曰わく、百姓(ひゃくせい)足らば、君(きみ)(だれ)と与(とも)にか足らざらん。百姓足らずんば、君孰と与にか足らん。(顔淵第十二・仮名論語168頁)
哀公(魯国の君主)が有若(孔子先生の弟子)に尋ねられました。
「今年は凶作のため財政がもたない。どうすれば良いだろうか?」
有若が答えました。
「どうして徹(十分の一税)になさらないのですか?」
哀公が言われました。
「現行の十分の二税でも足りないのに、どうして徹にすることができようか。」
有若が答えました。
「国民が足りているのなら、殿は誰と共に足りないとおっしゃるのでしょうか?国民が足りないのなら、殿は誰と共に足ろうとなさるのでしょうか?」
 
 
とはいえ、(つづく