微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

一人ひとりの個性を認め

一人ひとりの個性を認め、
良いところは伸ばし、
悪いところは抑える。


子曰わく、君子は人の美を成し、人の悪を成さず。小人は是に反す。(顔淵第十二・仮名論語172頁)
孔子先生が言われました。
「君子は、人の美点(長所)を成就させ、人の悪い所(短所)は抑えようとする。小人は、これとは反対のことをする」


子路問う、聞くままに斯れ諸を行わんか。子曰わく、父兄の在すこと有り、之を如何ぞ、其れ聞くままに斯れ諸を行わんや。冉有問う、聞くままに斯れ諸を行わんか。子曰わく、聞くままに斯れ諸を行え。公西華曰わく、由や問う、聞くままに斯れ諸を行わんかと。子曰わく、父兄の在すこと有りと。求や問う、聞くままに斯れ諸を行わんかと。子曰わく、聞くままに斯れ諸を行えと。赤や惑う。敢えて問う。子曰わく、求や退く、故に之を進む。由や人を兼ぬ、故に之を退く。(先進第十一・仮名論語151頁)
子路が質問しました。
「先生が教えて下さったことをすぐにでも行動に移したいと思いますが、いかがでしょうか?」
これに対し孔子先生は答えられました。
「父兄がおられるではないか。よく考えてから行動しなさい」
冉有が質問しました。
孔子先生は「すぐに行動しなさい」と答えられました。
公西華が質問しました。
「先生は、由(子路)が質問した際には、『よく考えてから行動しなさい』とおっしゃいました。しかし、求(冉有)が同じ質問をした際には、『すぐに行動しなさい』とおっしゃいました。私には、先生の真意がわかりません。どうかお教え下さい」
孔子先生は、答えられました。
「求は引っ込み思案だからね、励ましてやろうと思ったのだよ。由は出過ぎる癖があるからね、抑えようと思ったのだよ」