微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

イクメンは別に新しくない

イクメンは別に新しくない。

「子育ては妻に任せる」という考え方が異常なのだと思う。
 
 
(前略)子曰わく、(中略)子生まれて三年然る後に父母の懐(ふところ)を免(まぬが)る。(後略)(陽貨第十七・仮名論語275頁)
孔子先生が言われました。
「子どもは生まれてから3年たってようやく父母の懐を離れるのだよ。」
 

2500年前の孔子の時代から
「母の懐」でなく「父母の懐」なのである。
 
 
宰我問う、三年の喪は期にして巳(すで)に久し。君子三年礼を為さずんば、礼必ず壊(やぶ)れん。三年楽(がく)を為さずんば、楽必ず崩れん。旧穀(きゅうこく)既に没(つ)きて新穀既に升(のぼ)る、燧(すい)を鑽(き)りて火を改(あらた)む。期にして已(や)むべし。子曰わく、夫(か)の稲を食(くら)い、夫の錦を衣(き)て、女(なんじ)に於(おい)て安きか。曰(い)わく、安し。女安くんば則ち之を為せ。夫れ君子の喪に居る、旨きを食うも甘からず、楽を聞くも楽しからず、居處(きょしょ)安からず。故に為さざるなり。今女安くんば則ち之を為せ。宰我出ず。子曰わく、予の不仁なるや。子生まれて三年然る後に父母の懐を免る。夫れ三年の喪は天下の通喪なり。予や、三年の愛其の父母に有るか。(陽貨第十七・仮名論語273頁)
弟子の宰我が尋ねました。
「父母が亡くなったときにする喪の期間が三年というのは、長すぎると思います。君子が三年も礼をしなかったならば、礼は必ず廃れましょう。三年も音楽をしなかったならば、音楽は必ず崩れましょう。古い穀物はなくなって、新しい穀物が出て参りましょう。(中略)したがって、1年でやめるべきです。」
孔子先生は尋ねられました。
「お前は3年もたたないのに、旨い飯を食べ美しい服を着て、それで心が安らかなのかね。」
宰我は答えました。
「安らかであります。」
孔子先生は言われました。
「お前の心が安らかであれば、そうするが良い。君子は喪中は旨いものを食べても旨くなく、音楽を聞いても楽しくなく、家にいても安らかでない。(中略)今お前の心が安らかであれば、そうするが良い。」
宰我が出てゆきました。
孔子先生がその場にいた他の弟子たちに言われました。
「予(宰我)は不仁なやつだ。子どもは生まれて三年たって、ようやく父母の懐を離れるのだよ。三年の喪は世の中の人が誰でもやっている共通の喪なのだよ。予(宰我)も三年も父母の懐にいてその愛情を受けたはずなのに、忘れてしまったのだろうか。」