微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

夫子は温良恭倹譲(論語、学而第一⑩)

弟子から見た孔子先生のお人柄。
 
これも論語全体で何度も繰り返されるテーマ。
 
これを最もよく表しているのが
温良恭倹譲なのではないか?
 
そう考えると
やはりこの章句も学而第一に相応しい。
 
 
子禽、子貢に問うて曰わく、夫子の是の邦に至るや、必ず其の政を聞く、之を求めたるか、抑抑之を与えたるか。子貢曰わく、夫子は温良恭倹譲、以て之を得たり。夫子の之を求むるは、其れ諸れ人の之を求むるに異なるか。(学而第一・仮名論語5頁)
子禽が子貢に尋ねました。
「先生はどこの国に行かれても、必ず政治について相談を受けますが、これは先生がご自分から求められたものなのでしょうか?それとも先方からもちかけられたものなのでしょうか?」
子貢が答えました。
「先生は温(あたたかく)良(すなおで)恭(うやうやしく)倹(つつましく)譲(人に譲る)のお人柄。このお人柄が人に相談をさせてしまうのです。先生が相談を受けるのは、一般の人が相談を受けるのとは全く異なるものでしょう」