微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

天皇陛下の一日も早いご回復をお祈り申し上げます。

東日本大震災の際の天皇陛下のお言葉を全文掲載します。
イメージ 1
 
『 この度の東北地方太平洋沖地震は、マグニチュード9・0という例を見ない規模の巨大地震であり、被災地の悲惨な状況に深く心を痛めています。地震津波による死者の数は日を追って増加し、犠牲者が何人になるのかも分かりません。一人でも多くの人の無事が確認されることを願っています。また、現在、原子力発電所の状況が予断を許さぬものであることを深く案じ、関係者の尽力により事態の更なる悪化が回避されることを切に願っています。
 現在、国を挙げての救援活動が進められていますが、厳しい寒さの中で、多くの人々が、食糧、飲料水、燃料などの不足により、極めて苦しい避難生活を余儀なくされています。その速やかな救済のために全力を挙げることにより、被災者の状況が少しでも好転し、人々の復興への希望につながっていくことを心から願わずにはいられません。そして、何にも増して、この大災害を生き抜き、被災者としての自らを励ましつつ、これからの日々を生きようとしている人々の雄々しさに深く胸を打たれています。
 自衛隊、警察、消防、海上保安庁を始めとする国や地方自治体の人々、諸外国から救援のために来日した人々、国内のさまざまな救援組織に属する人々が、余震の続く危険な状況の中で、日夜救援活動を進めている努力に感謝し、その労を深くねぎらいたく思います。
 今回、世界各国の元首から相次いでお見舞いの電報が届き、その多くに各国国民の気持ちが被災者とともにあるとの言葉が添えられていました。これを被災地の人々にお伝えします。
 海外においては、この深い悲しみの中で、日本人が、取り乱すことなく助け合い、秩序ある対応を示していることに触れた論調も多いと聞いています。これからも皆が相携え、いたわり合って、この不幸な時期を乗り越えることを衷心より願っています。
 被災者のこれからの苦難の日々を、私たち皆が、さまざまな形で少しでも多く分かち合っていくことが大切であろうと思います。被災した人々が決して希望を捨てることなく、身体(からだ)を大切に明日からの日々を生き抜いてくれるよう、また、国民一人びとりが、被災した各地域の上にこれからも長く心を寄せ、被災者とともにそれぞれの地域の復興の道のりを見守り続けていくことを心より願っています。』
 
 
今読み返しても涙腺が緩みます。
まさに忠恕のお心です。
天皇陛下の一日も早いご回復をお祈り申し上げます。
 
 
子曰わく、参や、吾が道は一を以て之を貫く。
曽子曰わく、唯。
子出ず。門人問うて曰わく、何の謂ぞや。
曽子曰わく、夫子の道は忠恕のみ。
(里仁第四・仮名論語43頁)
 孔子先生が最も若い弟子の一人、曽子先生におっしゃいました。
「私の教えは、一つのことで貫かれているのだよ。」
曽子先生はすかさず、「はい」とだけ答えました。
孔子先生が出てゆかれると、他の弟子が、曽子先生に問いかけました。
「『一つ』とはどういう意味でしょうか」
曽子先生は答えました。
孔子先生の教えは、忠恕(まごころから相手を思いやる気持ち)だよ。」
 
 
11月19日日経朝刊に「高齢天皇に酷な現制度」という記事がありました。
全文を転載します。

天皇陛下が気管支炎で入院されたことについて、高齢で抵抗力が落ちていることに加えて、公務や宮中祭祀(さいし)への取り組みに熱心なあまり、疲労が蓄積したことが要因といわれている。
 負担軽減はここ数年いわれてきたが、今回の入院であらためて浮き彫りになったのは、天皇という「制度」が構造的に抱える問題だ。
 憲法皇室典範には天皇が高齢になった場合の規定がいっさいない。法で定められた国事行為は、天皇が70、80代になっても50代の壮年時と同じである。
 毎年11月23日に行われる新嘗祭(にいなめさい)で天皇は厳しく冷え込む夜と翌日未明に各2時間も正座を続ける。天皇陛下は儀式の途中で気分が悪くなり、もどされたこともあるという。こうなると一種の苦行だ。陛下は来月で78歳になられる。今年の拝礼は中止となったが、宮中祭祀も高齢の天皇が行うことを想定しているとは思えない。
 昭和天皇は69歳から未明の儀式に出ず、70歳から夜の儀式の時間も大幅に短縮した。当時の入江相政侍従長は伝統を重視する人々から「君側の奸(かん)」と批判されても祭祀の簡略化を断行した。
 公務についても、大幅に減らすのは難しく、「かえって陛下にはストレス」と宮内庁幹部は言うが、公的意義が薄いものなど、取捨選択の余地はあるように思える。
 天皇の高齢問題はどの時代でも起きうる。ある程度の年齢に達した天皇は国事行為だけに専念するなどの「疑似定年制」を検討できないだろうか。』
 
天皇陛下のご負担軽減を是非ともお願いしたいと思います。