微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

耳順―六十にして耳順い(論語、為政第二④)

孔子先生は
「六十にして耳順い」と言われた。


子曰わく、吾十有五にして学に志し三十にして立ち四十にして惑わず五十にして天命を知り、六十にして耳順い、七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず。(為政第二・仮名論語12頁)
孔子先生が言われました。
「私は15歳の頃、学問に志した(志学)。30歳で自立し(而立)、40歳で惑わなくなった(不惑)。50歳で天命を知り(知命)、60歳で素直に聞こえるようになり(耳順)、70歳で心の欲する所に従っても道を外すようなことは無くなった(従心)」


天に学べるようになった
という意味だろうか?


子曰わく、我を知ること莫きかな。子貢曰わく、何為れぞ其れ子を知ること莫からんや。子曰わく、天を怨みず、人を尤めず、下学して上達す。我を知る者は其れ天か。(憲問第十四・仮名論語219頁)
孔子先生が「私を認めてくれる人がいない…」と漏らされました。
子貢が驚いて言いました。
「先生のような方が認められないことなどございましょうか?」
孔子先生が言われました。
「認められないとはいえ、私は天を怨んだり人をとがめたりはしない。私は身近なところから学び、だんだんと深い学問・真理に通じてきた。私のことを本当に認めてくれるのは、天であろうか?」


子曰わく、予言うこと無からんと欲す。子貢曰わく、子如し言わずんば、則ち小子何をか述べん。子曰わく、天何をか言うや、四時行われ百物生ず。天何をか言うや。(陽貨第十七・仮名論語272頁)
孔子先生が「もう何も言いたくない」と言い出されました。
子貢が言いました。
「先生が何も言わなければ、私たち弟子はどうやって後世に伝えてゆけば良いのでしょうか?」
孔子先生が言われました。
「天は何を言うだろうか?何も言わなくても、四季はめぐるし、万物は成長する。天は何を言うのだろうか?」