微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

曽子(論語、学而第一④)

曽子は孔子よりも46歳若い弟子。

孔子の教えをよく受け継ぎ、
後世の学者から「宗聖」と称えられた。

「夫子の道は忠恕のみ」という言葉を遺したからだろう。


曽子曰わく、吾日に吾が身を三省す。人の為に謀りて忠ならざるか、朋友と交わりて信ならざるか、習わざるを伝うるか。(学而第一・仮名論語2頁)
曽先生が言いました。
「私は、自分自身を何度も省みて、善くないところを省くようにしている。たとえば、人からの相談ごとに誠心誠意応対したかどうか、友だちに嘘や偽りを言わなかったかどうか、そしてまだ習得できていないことを人に教えてしまわなかったかどうか


子曰わく、参や、吾が道はを以て之を貫く。曽子曰わく、唯。子出ず。門人問うて曰わく、何の謂ぞや。曽子曰わく、夫子の道は忠恕のみ。(里仁第四・仮名論語43頁)
孔子先生が曽先生に言われました。
「私の教えは、つ』のことで貫かれているのだよ」
曽先生はすかさず、「はい」とだけ答えました。
孔子先生が出てゆかれると、他の弟子が曽先生に問いかけました。
「『つ』とはどういう意味でしょうか?」
曽先生は答えました。
孔子先生の教えを貫くものは、
忠恕(まごころから相手を思いやる気持ち)のみだよ」


曽子曰わく、士は以て弘毅ならざるべからず。任重くして道遠し。仁以て己が任と為す、亦重からずや。死して後已む、亦遠からずや。(泰伯第八・仮名論語102頁)
曽先生が言いました。
「士には広くて強い心がなくてはならない。士の任務は重く、道は遠いからである。仁の実現を自分の任務とする、何と重いことだろうか?死んでようやくその任務が終わる、何と悠遠なことだろうか?」