微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

「孝弟」の「弟」とは何か?

「孝弟」の「弟」とは、
弟や妹が兄や姉を慕うことだろう。
 
兄や姉が弟や妹を思い、
弟や妹が兄や姉を慕う。
 
思うと慕うが合わさって
「友」となるのだろうか?
 
 
有子曰わく、其(そ)の人と為りや、孝弟にして上を犯すを好む者は鮮(すく)なし。上を犯すを好まずして乱を作(な)すを好む者は未だ之れ有らざるなり。君子は本を務む、本立ちて道生ず。孝弟なる者は、其れ仁を為すの本か。(学而第一・仮名論語1頁)
弟子の有先生が言いました。
「人柄が孝弟な者に、目上に逆らうことを好むような者は少ない。目上に逆うことを好まない者で、世の中を乱すことを好む者はいない。君子は本を大事にする。本がしっかりすれば道が開ける。孝弟は仁を成し遂げる本であろうか?」
 
 
(ある)ひと孔子に言いて曰わく、子奚(なん)ぞ政(まつりごと)を為(な)さざる。子曰わく、書(しょ)に言う、孝なるかな惟(こ)れ孝、兄弟に友に、有政(ゆうせい)に施(ほどこ)すと。是(こ)れ亦(また)政を為すなり。奚ぞ其(そ)れ政を為すことを為さん。(為政第二・仮名論語20頁)
ある人が孔子先生に言いました。
「先生はどうして直接政治に携わらないのですか?」
先生が答えられました。
書経に『親には孝を行い、兄弟とは仲良く。これは政治をすることと同じこと』とある。家庭を円満にすることも政治なのだよ。どうして直接政治に携わる必要があるだろうか?」