微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

孔子は個性に合わせて教えてくれる

孔子先生は、
教えを受ける側の個性に合わせて
教え方を変えていたようだ。


子路問う、聞くままに斯れ諸を行わんか。子曰わく、父兄の在すこと有り、之を如何ぞ、其れ聞くままに斯れ諸を行わんや。冉有問う、聞くままに斯れ諸を行わんか。子曰わく、聞くままに斯れ諸を行え。公西華曰わく、由や問う、聞くままに斯れ諸を行わんかと。子曰わく、父兄の在すこと有りと。求や問う、聞くままに斯れ諸を行わんかと。子曰わく、聞くままに斯れ諸を行えと。赤や惑う。敢えて問う。子曰わく、求や退く、故に之を進む。由や人を兼ぬ、故に之を退く。(先進第十一・仮名論語151頁)
弟子の子路孔子先生に質問をしました。
「教えてもらったことをすぐに行動に移したいと思いますが、いかがでしょうか?」
孔子先生は、答えられました。
「父兄がおられるではないか。よく考えてから行動しなさい」
弟子の冉有孔子先生に同じ質問をしました。
孔子先生は、「すぐに行動しなさい」と答えられました。
弟子の公西華がこのやりとりを聞いて、不審に思って孔子先生に質問しました。
「先生は、由(子路)が質問した際には、よく考えてから行動しなさいとおっしゃいました。 しかし、求(冉有)が同じ質問をした際には、すぐに行動しなさいとおっしゃいました。私には、先生のお心がわかりません。どうかお教え下さい」
孔子先生は、答えられました。
「求は引っ込み思案だからそれを励ましてやったのだよ。由は出過ぎる癖があるから、それを抑えようと思ったのだよ」