微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

悪いのは格差でなく格差固定

人に個性があり、
それぞれ能力も違う以上、
格差が生じるのはやむを得まい。

悪いのは格差が固定され、
社会の新陳代謝ができなくなることだろう。

当世、
富めるに継いで格差の固定を招いてはいまいか?


子華、齊に使す。冉子、其の母の為に粟を請う。子曰わく、之に釜を与えよ。益さんことを請う。曰わく、之に庾を与えよ。冉子、之に粟五秉を与う。子曰わく、赤の齊に適(ゆ)くや、肥馬に乗りて軽裘を衣たり。吾之を聞く、君子は急(とぼ)しきを周(すく)うて富めるに継がずと。(雍也第六・仮名論語66頁)
子華(公西赤)が齊国に使者として行くことになり、冉先生は留守宅になる子華の母のためにお米が欲しいと願い出ました。
孔子先生が言われました。
「釜(ふ)の分量だけ差し上げなさい」
冉先生がもう少し欲しいと願い出ると、孔子先生は「庾(ゆ)の分量だけ差し上げなさい」と言われました。
冉先生は独断で五秉(へい)の分量を差し上げました。
孔子先生が言われました。
「赤(子華)は、よく肥えた馬に乗り、軽やかな毛皮の服を着て齊国へ向かった。私は、『君子は貧しい者を助けるが、裕福な者に継ぎ足しはしない』という言葉を聞いたことがある」