妹の結婚式があった。
妹は父との関係が良いとは言えない。
妹と父は結局、
ヴァージンロードを一緒に歩かなかった。
だが、披露宴の最後、
新婦の手紙には、
父の愛情を感じられるエピソードや
父への感謝の気持ちが綴られていた。
私と母、特に母が
父と妹との関係を取りもつため
苦心した日々が思い出された。
私は思わずハンカチで目を押さえた。
妻は笑って言った。
「妹の結婚式で泣くお兄ちゃんなんて見たことないよ」と。
だが、私は別に泣いていたのではない。
コンタクトが乾いただけなのだ。
妹よ、
末永くお幸せに。