微庵の論語メモ

現代語訳は可能な限り原文に忠実に、かつ分かり易くを心がけております。

西郷南州翁遺訓

今日は西郷隆盛の命日。
 
 
戊辰戦争で東北諸藩とともに
新政府軍と戦った庄内藩
 
降伏後、
厳しい処分が下されると
藩内の誰もが予想したが、
宿敵のはずの西郷は
寛大な措置を指示し、
軽い処分にとどまった。
 
感動した元藩士は、
鹿児島に西郷を訪ねた。
寝食を共にしながら、
西郷の教えを
西郷南州翁遺訓という
遺訓集にまとめた。
 
この遺訓集の代表的な言葉には
次のようなものがある。
 
 
「人を相手にせず、天を相手にせよ。己を尽くし人をとがめず、わが誠の足らざるを尋ぬべし」
 
 
西郷が論語よく
読んでいたことが窺える。
 
 
子曰わく、我を知ること莫きかな。子貢曰わく、何為れぞ其れ子を知ること莫からんや。子曰わく、天を怨みず、人を尤めず、下学して上達す。我を知る者は其れ天か。(憲問第十四・仮名論語219頁)
孔子先生が「私を認めてくれる人がいない…」と漏らされました。
弟子の子貢が驚いて言いました。
「先生のようなお方が認められないことなどございましょうか?」
孔子先生が言われました。
「認められなくても、私は天を怨んだり人のせいにしない。私は身近なところから学び、だんだんと深い学問・真理に通じてきた。私のことを本当に認めてくれるのは、天であろうか?」
 
 
(前略)之を誠にするは、善を択びて固く之を執る者なり。(中庸第二十章・仮名中庸48頁)
聖人でない私たちが誠となるためには、善を選んで固くそれを守るのである。